28*2 URL = https://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1332306.htm学習の足場がけなどの支援がない状況でパフォーマンス評価を行い,先に示したライティング評価ルーブリックを活用して「思考・判断・表現」の評価を行うことができる。学習評価の意義に関して,参考資料では,主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善と評価にあたって,「生徒一人一人の学習の成立を促すための評価という視点を一層重視し,教師が自らの指導のねらいに応じて授業での生徒の学びを振り返り,学習や指導の改善に生かしていくことが大切」であると述べている。こうした形成的な評価を教師が行うだけでなく,育成すべき資質・能力の1つとして「学びに向かう力」が掲げられているように,生徒も自ら自己調整を行いながら粘り強くコミュニケーションの改善に取り組むといった自律的な学習態度と習慣形成が重要となる。参考資料の中学校編には「自己調整」を図ることができるようにするための指導のプロセスが図示されているが(p.81),自己調整のサイクルは「予見」「遂行統制」「省察」から成っており,学習開始時の学習の見通しを持ち,今後の学習を予見し,目標達成のための工夫を計画する段階で,活動への自己効力(できる感)を持っていることが重要となる。Can-Doチェックリストは「できたこと」を単にチェックするリストではなく,未来志向的にこれからの活動に主体的に取り組めそうかどうかの自信の程度を問うものである。学習途中の遂行統制の段階では,タスクの遂行におけるパフォーマンスを自己モニタリングしながら,協働的な学習を通して他者からも学びつつ,自己のパフォーマンスの改善を試みる。学習終了時には,自身のパフォーマンスを自己評価し,「できるようになった」ことを意識するとともに,さらなる改善点や今後の改善のための方略使用について省察し,内省のコメントを記述することで,次の使用や学習へとつなげていく。その際にCan-Doリストや評価ルーブリックを活用することで,より具体的に焦点化した内省が可能となり,先の発達への見通しを持った学習の指針を立てることができる。また,内省は学期に一度振り返って行うのではなく,各単元でそれぞれの活動(Can-Do)について行うことで,より細かい学習のサイクルを回すことができ,内省力をつけることにつながる。各単元末のページにはCan-Doリストを再掲しており,チェックボックスに自信の程度を記入できるようにしている。さらには,活動の途中においても,Speakでは1回目のタスクの後にReflectionのコーナーを設けている(「7-6. 活動の振り返り」参照)。ライティングにおけるプロセスライティングのステップも同様のねらいから設けており,さまざまに内省活動を行いながら改善を図っていくことが望ましい(「8-5. Write:活動の振り返り」参照)。各課での振り返りには,指導用データDVD-ROMに収録されている「振り返りシート」や,生徒用教材『マイノート』を利用することもできるので,適宜活用されたい。10. 生徒による単元の振り返り
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