FACTBOOK English Logic and Expression I タスク指導の手引き
21/28

21を書いていけるのであれば,必ずしも事前にすべての表現を確認してからタスクを始める必要はない。逆にタスクの難易度が高い場合には,事前に表現を確認し,書く際の形式を指定することで生徒にとってタスクのハードルを下げることが可能となる。タスクが生徒にとって難しすぎず易しすぎず,適切なレベルとなるよう支援を通じて事前の調整を行うことが,教師の大切な役割の一つである。また,生徒が個人で何かを書く活動を行う際は,○分間で書くなどのように,活動の時間を設定して取り組むことが多いと思うが,当然生徒によって書く速さは異なる。Writeで求められているのは1文レベルの英文であるため,すぐに書き終わってしまう生徒もいれば,じっくりと内容を考えてから書き始める生徒もいるはずである。すぐに書き終わった生徒については,例えばもういくつか別の異なるアイデアを書いてみるように声かけを行ったり,書いた英文を確認し,誤りがある場合にはよりよくするためのヒントを与え英文を修正させたりするなど,なるべくすべての生徒が設定した時間を有効に使えるようにしたいところである。また,生徒どうしで振り返る活動だけではなく,教師が活動を観察して気づいたことについてはクラス全体で共有する場面としてもよいだろう。多くの生徒に共通する英語の誤りについては,この時点で指摘し指導することもできるが,書く活動では生徒が書いている内容が一番重要であることを教師も生徒も共に意識しておきたい。生徒が書いた内容について教師が少しも触れることなく,ただ英語の誤りを指摘するばかりでは,生徒は英語で何かを書くモチベーションを簡単に失ってしまう。まずは書いた内容が十分に伝わったことを評価し,8-4. Write:活動中の留意点生徒がWriteの活動に取り組んでいる最中は,生徒の様子を観察し,生徒がどのような状況にあるのかを把握することが重要である。動きが止まっている生徒がいたとしても,取り組むべきことが理解できなくて止まっている生徒と,それらは理解しているが書き方がわからないために止まっている生徒であれば,動きが止まっている状態は同じであっても,生徒にとっての状況はまったく異なる。前者であればもう一度状況説明に戻って詳細を確認してから書くことに取り組ませる必要があり,後者であれば書き方に関する支援を与えることが必要となる。教師は机間巡視を行い,適宜声かけを行うなどしながら生徒の状況を把握することに努め,適切な支援を生徒に与えるようにしたい。8-5. Write:活動の振り返り生徒が個人で何かを書く際は,書いている内容や方向性が合っているか不安を感じることも多く,ほかの生徒がどのような内容を書いているか気になることも多いはずである。そのような不安を和らげるためにも,Writeを行った後に各自が書いた内容についてクラスメイトと共有する場面を持つとよいだろう。教科書にはその場面で使用できる表が掲載されており(Share your ideas with other students in your class.),各自が書いたものをクラスメイトと読み合い,ほかの生徒が書いた内容についてその英文を書き留めることができるようになっている。ここでさまざまなアイデアを共有することを通じて,自分が書いた英文を修正したり,書き方のバリエーションを広げたりしていくことにつなげていきたい。

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る