FACTBOOK English Logic and Expression I タスク指導の手引き
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16の役割の情報を理解するために補足説明が必要な際には,このワークシート上に教師が加筆するなどして,確実に生徒が内容を理解してから活動を始めることが重要である。7-4. 活動前の支援Speakの活動にはある特定の状況が設定されているが,その状況下で各自の役割を行うにあたり,共通して必要になる語彙や表現があることが想定される。それらは活動を円滑に進めていくために最低限必要なものであるため,活動前の支援として生徒に与えておくことができるようにKey words and expressions for thinkingの項目にまとめている。これらの表現については意味を理解するだけでなく,活動内で実際に使えるように発音等も練習してから活動へと移りたい(Speakの本コーナーではQRコードから音声を確認することができる)。また,教科書に記載されている表現以外にも,生徒の実態に応じて教師の判断により適宜内容を追加することはできるが,これはfor thinkingとして生徒の発想を促すことを目的として行うものであり,語彙や表現をインプットし,暗記させることが主眼とならないように注意しておきたい。あくまでも最低限必要な表現に絞って支援を与えることが重要である。実際のコミュニケーションの場面ではすべての語彙や表現をインプットしてから会話を始めることはなく,表現できないことがその都度たくさん出てくることが普通である。その際には自分が表現できる方法に言い換えて内容を伝えたり,相手に助けてもらったりしながら意思疎通を図ることが必要となるため,教師はそのような点も指摘しながら生徒に活動へと臨ませたい。また,どのように会話を始めていいかわからない生徒への支援として,Start from the following lineに会話を始める1文を示しているので,この文を活用して会話を開始し,その後の会話を続けるように指示することができる。生徒どうしで自由に会話を進めていける場合には,必ずしもここに示されている文から始める必要はないが,後に示されるModel Dialogueではこの文から始まる会話をモデルとして示しているため,序盤のUnitではこの形式に沿って進めたほうが後の活動にもつなげやすいだろう。7-5. 活動中の留意点実際に活動が始まったら,教師は生徒の活動を観察し,言語活動が適切に行われているか確認する。観察する際に,どちらの生徒がどの役割を行っているかすぐに教師が把握できるよう,Role-Aの生徒は必ず窓側に座るなどのように位置を固定したり,生徒の手元にあるワークシートにA,Bを大きく表示しておいたりするといいだろう。もし多くの生徒が状況や役割の内容を理解できていないことが原因で,活動の進行に苦労している様子であれば,早い段階で全体の活動を止めて,もう一度活動前に理解しておかなければならないことを確認させる必要がある。円滑に活動が進められていないペアが限定的であれば,個別に必要な事項を助言していけばよい。しかしながらここでは,教師は活動の途中で生徒にさまざまなことを教えすぎないように注意したい。ここは生徒にとって1回目のSpeakであり,この段階では十分に表現できないことも当然多い。言語面,内容面に関するインプットはこの活動の後に行う場面があるため,ここでの教師の役割は生徒ができないことを指摘して指導することではなく,なぜ生徒が表現できないのか,活動をしっかりと観察しその原因を明らか

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