探求 論理国語 ダイジェスト版
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5うよおいうり  ルト1「舞姫」 2ウンテル・デン・リン3プロシア baroque4(バフロラッンクス 語)。十六世5トポグラフィー英 語)。topography(デン 森鷗外(~一九二二)が一八九〇年に発表した小説。ドイツに留学した若い官僚である太田豊太郎と、貧しい踊り子エリスとの恋を描いた。ベルリンのブランデンブルク門からプロイセン王宮までの通り。現在のドイツ北東部にあった王国。プロイセン。紀から十八世紀にかけてヨーロッパで流行した芸術様式。地勢。地形。ここではベルリンの町のベルリンの都市空間の「内」と「外」、豊太郎の自意識と無意地形識。「舞姫」における、空間的な境界と意識の境界との関わり的を論じる評論です。な様子の論文を読む③ことを指す。威容疎外一八六二森も鷗お外がの「舞姫」もまたベルリンの都市空間を「内」と「外」の対立項で分節化したテクストであるに違いない。太お田た豊と太た郎ろが心を奪われたウ2ンテル・デン・リンデンの大通りは、プ3ロシア軍国主義の威容を誇示するバ4ロック風の演劇空間であったが、やがて彼が迎えとられるのは、踊り子エリスの愛が待ち受けているクロステル街の屋根裏部屋である。豊太郎の生活史は、ウンテル・デン・リンデンの開かれた外的空間から、クロステル街の閉ざされた内的空間へと、その境界を踏み越えたときに一つの転機が訪れる。豊太郎の生を温かく包み込むエリスの屋根裏部屋は、近代的なベルリンから疎外された内密の場所であり、その周辺には古アベルリン特有の中世的な景観が残されている。豊太郎からエリスに視点をずらせてみると、こうした「舞姫」のト5ポグラフィーは、いっそうはっきり浮き出してくるはずだ。外的空間から内的空間に入り込んだ異邦人の豊太郎が、最終的にはエリスを破滅させ、再び外的空間に帰還していく、ほとんど神話的と呼んでもいい構図である。前まえ田だ愛あい 「1舞姫」を通じてベルリンの「内」と「外」   ―論文を読む221 ベルリンの「内」と「外」――「舞姫」を通じて4810論文を読む 〈Ⅰ部〉

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