探求 論理国語 ダイジェスト版
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「は『死、具』体を的発に見どし」ういたとうことか。動物であれ、植物であれ、菌類であれ、すべての生き物はみなそれぞれの種の「生きる論理」を持っている。その論理の多様性が地球上の生物のすばらしい多様性を生んでいるのだと考えることができる。生物の一種である人間も、当然、人間に独自の論理を持っている。誤解を生まぬようあえて付け加えておけば、これは人間だけが論理を持っているということではなく、人間もまた生物の一つとして、他のあまたの生物と同じく「生きる論理」を持っており、その論理が他の生物たちの「生きる論理」と違っているということである。人間の「生きる論理」は他の生物たちのと異なって、ある悩みの上に成り立っているように見える。なぜそのようなことになったのか。それはよく言われるとおり、人間が不幸にも「死」を発見してしまったからではないかと思われるのである。植物や菌類は別として、多くの動物たちは殺されることへの恐怖を持っているようだ。日ひ髙だか敏とし隆たか人間の領域評論Ⅰ15 1237 人間の領域人間は「生きる論理」「生きる意味」を求めるが、人間の美学は戦争や環境問題をも引き起こしてきた。人間存在の根幹を問う評論です。1810評論Ⅰ 〈Ⅱ部〉

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