探求 論理国語 ダイジェスト版
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2賦活部位 3社会的痛み 4前頭前野 5山本真也 機能、作用が活発化する部分。ここでは、身体的痛みとは異なる、社会との関わりの中で感じる精神的な痛みのこと。「何そかれ。」の指すものは脳の一部で、大脳の前部の一番前の部分。一九八一~。情動勇壮鼓舞共鳴*はからずも 認知で、主人公の不安を我が事のように感じたりするのが、この例である。そして最後に、「認知的共感」がある。これは、他者と自己を明確に区別したうえで、他者の状態を理解し、その感情状態に共鳴することを指す。自分とはかけ離れた地域で起きている紛争の犠牲者の気持ちを、その状況を想定して理解するような場合である。これらはすべて、明確に分けられるものでもないが、近年は、これらを引き起こす脳活動の基盤についても明らかにされつつある。情動伝染と感情移入は、いろいろな動物で観察されているものの、認知的共感は、ヒトに固有のものであるようだ。近年の脳研究によると、自分自身が身体的痛みを感じるときの脳の賦2活部位と、自分自身が社3会的痛みを感じるときの部位は同じである。社会的な痛みも、物理的な痛みと同じなのだ。そして、他者が物理的な痛みを感じているのを見るときに賦活される脳の部位は、それと同じである。ところが、他者が社会的な痛みを感じているのを見るときに賦活される脳部位は、それとは異なるのである。このときは、ことさらに前4頭前野が活性化されるので、他者の社会的痛みに対する共感は、自己と他者とを明瞭に区別し、他者の状況を理解したうえで他者の感情を感じる、認知的共感なのである。霊長類学者の5山や本も真し也やらは、飼育のチンパンジー二頭に対し、各自の状況では使い道のない道具をそれぞれに与え、どのような行動が見られるかを観察した。すなわち、あ評論Ⅰ15んとま  119 チンパンジーは「おせっかい」をしない111510

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