探求 論理国語 ダイジェスト版
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5 1ラブネッズトミ などの大型のrat(英語)。ドネズミ。ここでは、野生のドブネズミなどを実験動物化したもののこと。ヒトの社会性にとって、「共感」が大きな働きをなしていることは明らかだ。ヒトは他者に共感するので、他者をないがしろにすることもできず、自己利益だけを追求することもできない。では、「共感」とは何だろうか? それは、どこから進化したのだろう?俗に「共感」と呼ばれている感情には、いくつかの段階と種類がある。最も基本的で低次のものは、他者の情動状態が観察者に伝わる「情動伝染」である。例えば、他者が腕に注射針を刺されているのを見ると、自らも痛みを感じてしまう、という反射的な反応状態である。このことは、ラ1ットでも見いだされており、ラットの個体が、ほかのラットが電気刺激を受けて痛がっているところを観察すると、*はからずも自分も痛みを感じてしまうようだ。次に「感情移入」という現象がある。これは、他者の感情状態を我が事のように感じてしまうことを指す。勇壮な音楽を聴くと自分も鼓舞されたり、サスペンス小説を読ん長は谷せ川がわ眞ま理り子こチンパンジーは「おせっかい」をしない評論Ⅰヒトという動物を繁栄させている要因は「認知的共感」にある。チンパンジーとの対比でヒトのコミュニケーションの特質を論じた評論です。1010評論Ⅰ 〈Ⅰ部〉18

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