ょうょうょうょく鳥瞰文学史上代(~奈良時代)鳥瞰文学史中古(平安時代)上代の概観 漢字伝来 仏教伝来538頃 遣唐使開始630 大化の改新645頃 『日本書紀』720『懐かい風ふう藻そう』751『万葉集』759頃中古の概観 平安京遷都794遣唐使廃止894唐滅亡907『土と佐さ日記』935頃『平へい中ちゅう物語』962頃『うつほ物語』『落おち窪くぼ物語』鳥瞰文学史近世の概観白はく村そん江こうの戦い663壬じん申しんの乱672いいんんつ ん5んんいんつ4 んんりとりつまんきつゃにきいょうんんっらいんいいたみいん ろうきい んくらゅうつい 9*日本最古の漢詩集▽鳥が空から見おろすように(鳥ち瞰か)、文学作品と時代との関わりを眺めよう。*1 律令制度天皇中心の強固な国家体より取り入れた制度。政治制の構築を目指し、隋・唐素養もあわせて取り入れたに限らず、漢詩文の文化的ことで、宮廷を場にさまざまな表現の和歌が生まれた。▽文学作品と時代との関わりを眺めよう。*1 勅命命令のこと。天皇の命令に勅命とは、天皇・上皇のよって文集・詩歌集を編纂古代中国には、有徳の為政することを勅ち撰せという。者のもとでは優れた漢詩文方がある。勅撰和歌集を編が生み出されるという考え纂することは、良き天皇ので、天皇を権威づけるとともと良き歌が詠まれたこともに、和歌の地位を、漢詩する日本の正史と同等に押や『日本書紀』をはじめとし上げる意味を持つ。*2 作り物語・歌物語学の影響を受け、伝奇的な古来の伝承を踏まえ漢文内容を扱うものが、『竹取物語』をはじめとする作り*井原西鶴の著*上田秋あ成なりの著*本も居お宣の長ながの著*本居宣長の著▽文学作品と時代との関わりを眺めよう。*1 文教政策武断政治から文治政治に励し、各藩では藩士の子弟転換した幕府は、学問を奨を教育する藩校が設けられ、(昌平黌こ)も作られた。学問幕府直ち轄かの昌し平へ坂学問所係の秩序を重んじる朱し子し学の中心は儒学、特に上下関が重用され、官学となった。経済の浸透により、庶民もまた幕府の文書主義、貨幣読み書きそろばんが重要になり、寺て子こ屋やという私設の教育機関も数多く存在した。*2 浮世草子江戸時代の元げ禄ろ期、主として上方で流行した小説。がその始まりと言われ、当井原西鶴の『好色一代男』時の世相・風俗を描く。人情の機微を解し、洗練されという美的理念が追求された言動を理想とする「粋す」り、江戸の遊里を描いたている。それが江戸に伝わ「洒落本」、町人の恋愛を描「粋い」「通つ」として受け継がいた「人情本」などの中で、れた。*3 俳諧の芸術性芭蕉はそれまでの俳諧のび」「さび」「軽かみ」などの遊戯的な側面を脱し、「わ美的理念を句に表そうとし静寂美を基調とした「幽た。中世の文芸理念である玄」が遁と世せ的な「わび」を的な美が加わったものが経て、さらに枯寂な、抑制「さび」。芭蕉俳諧の根本。をさらりと表現する「軽晩年は日常で見いだした美み」を唱えた。ょっょうょう 江戸幕府成立1603 鎖国完成1639『伽お婢ぼう子こ』刊 1666『好色一代男』刊 1682『奥の細道』出発 1689『本朝文もん選ぜん』刊 1706 寛政の改革1787『古事記伝』成立1798 大政奉還1867 とぎ享きょう保ほうの改革1716洒しれ落本ょく天てん保ぽうの改革1841ゅう血縁などで結ばれた小さな氏族単位の共同体で暮らしていましたが、やがて、ヤマト政 「文学」が生まれ、平安京遷都が行われるまでを上代と言います。人々は権によって、天皇を頂点とした中央集権的な国家に集約されていきました。和歌文学の黎明 文字を持たない時代にも、人から人へ口頭で、神話や伝説は語り伝えられ、労働や祭りに関わる歌は歌い継がれていました。このようなものを「口承文学」と呼びます。やがて漢字が中国大陸から伝わると、そうした口承文学を文字によって書き記すことが可能になります。そのいくつかは『古事記』『日本書紀』に見られ、所収さ 漢字を表音文字として用いて日本語を書き表す方法も考案されました。それが万葉仮れている歌謡を総称して「記紀歌謡」と言います。名です。歌が文字で表記されていく中で、集団の思いを述べた歌から個人の思いを述べるまで、奈良時代末期までのさまざまな人々の歌が収められています。た歌へと、そのあり方も変化していきます。『万葉集』には、天皇や貴族から庶民に至国家の構築 ヤマト政権は、中国大陸に国家としての姿を求め、「遣け隋ず使し」や「遣唐使」を派遣し*、*律り令り制度に基づく国家の国家の統一を成し遂げます。その機運を受け、国内に対して形成を目指します。そして、大化の改新や壬申の乱を経て、は、天皇の正当性を示すために、音訓を交えた変則の漢文体で『日本書紀』が編へ纂さされました。また、各地の地誌としてで『古事記』が、国外には、国の威信を示すために、漢文体の「風土記」も編纂されました。を中古と言います。平安時代は、律り令り制に基づく天皇中心 平安京遷都から鎌倉幕府成立までの約四百年間関政治へと移ります。さらに、貴族の力が衰退し、院政を経の政治体制から、天皇の外戚として藤原氏が権力を振るう摂て武士階級が台頭します。和歌文学の復権 平安京に遷都後、唐の文化がより積極的に取化が重要視される一方で、和歌は私的な場で詠まれるものとり入れられました。男性貴族の間で漢詩や漢文などの漢字文して、低い位置づけにとどまっていました。しかし、主に女性が使い始めた平仮名や片仮名が、漢字では難しかった細やかな心情の表現を可能にし、恋のやりとりの際など、和歌は男性貴族にとっても、重要なものとなりました。そして、十世紀初め、醍だ醐ご天皇*の*勅ち命めにより、『古今和歌集』が編へ纂さされ、和歌は公的なものとしての資格を獲得します。漢詩文や仮名文字との関わりによって、物語という新しい文古くから伝えられてきた神話や伝承もまた、物語文学の成立 学の形をとるようになりました。十世紀頃には、「*作*り物『伊勢物語』『大和物語』『平中物語』が作られました。また、語」の『竹取物語』『うつほ物語』『落窪物語』、「*歌*物語」の男性が仮名を使って書いた『土佐日記』は日記文学という新近世(江戸時代)間を近世と言います。武士階層がほかの階層を権力で押さえ 江戸幕府成立から大政奉還までの約二百五十年つけていた時代と考えられがちですが、幕藩体制が整い、安高まった時代と言えます。定した社会基盤の中で、商工業の発展とともに、町人の力が商業作家の登場 紫式部の職業は、と聞かれ、小説家と答えると、それは間違いです。兼好法師の職業を随筆家と答えるのをしていたのです。江戸時代になると、武力による抵抗を恐も間違いです。江戸時代の前までは皆、本業のかたわら創作れた徳川幕府が施した*文*教政策により、人々の識字率は向上し、読書欲も高まりました。また、印刷技術が進歩し、一度これらが相まって出版業が確立し、文筆を生業とする者が現に多くの印刷物を世に出すことができるようになりました。れ、さまざまなジャンルの作品を書きました。その代表が井というジャンルを確立しました。その後、文化の中心が江戸原西鶴です。上か方がの町人の生活を生き生きと描き、*浮*世草子に移ってからも、洒落本や人情本などと呼ばれる近世小説が次々と出されました。町人が描かれたものを町人が読むとい幕府政策と文学 幕藩体制の強化・維持のため、幕府は何度もうことで、近世の文学は町人文学といってよいでしょう。改革を行い、その影響が文学にも及びました。幕府批判の広説の作者たちが幕府から処分されることもありました。しかまりを抑えるため、風紀取り締まりの名目で、前述の近世小し、その後も次々と新しいジャンルの作品が現れるなど、町た。また、江戸時代の中期以降は、それまでの中心的な学問人たちの文学熱は権力では抑えられないほど高まっていましだった漢学・儒学に対抗して、日本古来の思想や文化を見直そうとする国学が盛んになり、国学者も多くの書物を書き残玉の小櫛櫛』という注釈書を著した本居宣長です。しました。その代表が、『玉勝間』という随筆や『源氏物語旅する俳人 近世でも和歌や漢詩は作られましたが、韻文の代表の座は中世の連れ歌がから生じた俳は諧かに取って代わられ、俳諧は、各地を旅しながら*俳*諧の芸術性を高めていきました。参は庶民の文学として普及していきました。中でも松尾芭ば蕉し勤交代が確立し街道が整備され、貨幣経済が浸透し各地に文の旅の人生に好影響を与えたことでしょう。学的支援者が生じたことも、『奥の細道』をはじめとする彼近世の功績―近代へ大の功績と言えるでしょう。文学により人々の目が外に開か 文学を庶民のものにしたことが近世の最盤が近世の人々の中に醸成されていったことでしょう。れ、さらに外向きの目が必要な、きたる近代を受け入れる地P.141『雨う月げ物語』刊1776P.254『難な波わ土みやげ産』刊 1738P.243『古事記』712P.269『曽そ根ね崎ざ心しん中じ』初演 1703P.227『去き来ら抄しょう』成立 1703頃P.231『三さ冊ぞ子し』成立 1702P.98・188『源氏物語』1008頃10P.58・158『ま枕くらの草そう子し』1000頃P.173『和いずみ泉式しき部ぶ日記』P.168『蜻かげ蛉ろう日記』974頃P.32『 竹た け取とり物語』P.113〜『 古こ 今きん和歌集』905P.266『雲う萍ぴょう雑ざっ志し』刊 1843P.264『おらが春』成立 1819P.281『七番日記』成立 1818P.260『源氏物語玉たまの小お櫛櫛ぐし』刊 1799P.256『玉た勝か間ま』起筆1793P.281『蕪ぶ村そ句集』刊 1784「上代/中古/中世/近世」の各時代の文学史の流れをまとめました。文学作品と時代との関わりを包括的に眺めることができます。教科書巻末45教科書巻末9⓾奈 良『出いづ雲もの国くに風ふ土ど記き』733和歌文学の始まり口承文学国家の構築江 戸P.134『*日に井本ぽ原永え西さい鶴か代たくいの蔵ぐ著』刊 1688俳諧の普及安定した社会基盤商工業の発展33平 安P.45P.36『『大や伊いまと和勢せ物物語語』』和歌文学の復権物語文学の成立庶民・町人の力古代文化の研究町民文学写本から版本へ
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